パビリオン体験について

Experiences & Beyond

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パビリオン展示では、来場者同士がつながり、響き合う中で共に未来を描く体験の提供を目指しています。来場者はグループを組み、その日その時間に集った一期一会のつながりを起点に、大きく3つからなる共鳴体験を巡りながら、共に未来に向かいます。

近代の万博は大量生産・大量消費社会の象徴でもあったが、その構造が限界を迎えつつある現在、新たなビジョンを提示する責務がある。大阪・関西万博の「大屋根」は、多様な人々をゆるやかに包み込みながら、同じ空を見上げるという体験を用意する装置として設計された。同じ空を共有する行為には、社会的・文化的背景の異なる者同士が、悲しみや喜びも含めた感情を分かち合う潜在力がある。この共通の視点を通じて、多様性を否定せずに未来を思い描くきっかけが生まれる。Co-beingの本質は、決して強制的な同質化ではなく、むしろ互いの差異を認めたうえで、「同じ空」を共有することにある。これこそが、大阪・関西万博において「Better Co-Being」という概念が担う重要な意義といえよう。

Better Co-Beingという考え方は、様々な地域で大切にされてきた考えや表現との間に共通点を見出し、異なるコミュニティ同士を共鳴させる側面も有する。

例えば、レオナルド・ダ・ヴィンチの描いた「モナリザ」の解釈を考える。近年提唱された学説では、「モナリザ」はダ・ヴィンチがそれまでに活動してきた要素を組み合わせたものと言われている。スケッチにも多数残されている解剖学、背景を描く地質学や光学、被写体の輪郭を柔らかくするスフマート技法、感情や心理状態の表現など、ダ・ヴィンチの全ての活動が、最終的に「モナリザ」に集約されているという説だ。ここではこの学説に基づいて、解釈を行う。

ダ・ヴィンチは果たして、生涯をかけて表現した「モナリザ」で何を伝えたかったのだろうか。神や聖母ではなく、当時の基準から見てもとりわけ美しいというわけではない普通の女性と微笑みを交わす体験。これは、人類がコミュニティをつくり、文化を紡ぎ始めた古代から、今後1万年以上先の未来にも共通する普遍的なコミュニケーションではないだろうか。人と人が肯定的な感情で結ばれる。それは、生まれたばかりの赤子が母親、つまり赤子の弱い視力でも見える重要他者と交わす微笑みだ。肯定的な感情で世界と結ばれる体験は、個の人格の基底を成し、世界とのつながりをつくり続ける。また、群であるコミュニティの基底を成すのも、そうしたポジティブな感情の中で人と人を結びつける体験である。

またダ・ヴィンチが発明した空気遠近法で描かれた背景にも注目したい。目の前の人物と微笑みが結ばれるように焦点がぼかされた背景は、その一方で緩やかな傾斜の先にある景色も感じさせ、未来を感じるような印象を与える。未来を感じながら、他者と肯定的につながること。これは1つの解釈でしかないが、レオナルド・ダ・ヴィンチは人間にとって普遍的に重要な行為を、絵画の鑑賞体験に結実させたのだと考えている。

ダ・ヴィンチが題名を空欄にした通称「モナリザ」という絵にあえてタイトルをつけるとしたら、、、「Better Co-Being」という言葉はそうした思考実験からも生まれた。しかしながらこれは偉大なる先人への敬意を込めた思考実験であることに留意されたい。真実は少なくとも今はわからないし、現在を生きる私たちは、新しい時代の中で何を見出すかが重要であると考えている。

レオナルド・ダ・ヴィンチは彼の活動を「モナリザ」という作品に集結させた。一方で私たちは未来へとつながる普遍的な問いを静けさの森、そしてその中にあるBetter Co-Beingパビリオンにおいて、多様なアーティスト、クリエイター、スタッフたちと共に表現した。もちろん今述べたように私たちは静けさの森という空間的なつながりだけでなく、過去から紡がれる様々な理念や表現との間での共鳴も試みている。デジタル技術や環境再生の手法、そして芸術表現を通じて、人と自然、人と未来が響き合う新たな体験を提示することで、Better Co-Beingの可能性を示唆したいのである。

Check-In エントランス

旅の始まりは、森に溶け込むように佇む幻想的なエントランスです。ここで偶然集った人々がグループとなり、共にパビリオンを巡りながら、未来を描く旅に出かけます。

Sequence01 人と人との共鳴

シークエンス1では「人と人との共鳴」をテーマに、自己と他者を見つめ、「何を通してつながるか」を再認識する体験を創出します。多様なモチーフで構成されたアートは、万博のテーマだけでなく、未来への問いの骨格となるテーマウィークにもつながっています。他者が大切にする価値や、自己の内側にある願いを照らすモチーフと向き合うことで、来場者は共に未来に向かう共鳴の手がかりを得るでしょう。

パビリオン内の小高い丘に広がる空間には、幾重にも張り巡られた赤い糸と、線で形作られた机と椅子が浮かび上がる。誰も座らないまま、人の存在を暗示する静謐な気配が漂う。宙を舞う文字は、多様な言語で「大地の息吹」「身体の声」「つなげる祈り」「見えないつながり」「未知への扉」「線と線が交わる場所」「終わりなき旅」などのテーマを表し、糸の揺れとともに広大なネットワークを形成する。この構造は、ふだんは意識されにくい目に見えないつながりを示唆し、異なる文化が対話する場を創出している。赤い糸と文字が織りなす詩的な空間が、不在のなかに宿る交流の可能性を可視化し、未来に向けた共生の問いを突きつけるのである。多様な視点を織り込みながら、人々が共に生きるための対話と創造の可能性を想起させる空間でもある。そうして訪れる者は、見えないつながりを再考し、次なる未来に向けた行動へと誘われるのである。

このインスタレーションを手がけた塩田千春は、糸や日常的なオブジェクトを用いながら「記憶」「存在と不在」「つながり」といった概念を探究し続けてきたアーティストである。糸という素材は、塩田にとって時には不安や孤立といった人間が抱える内面的な感情も暗示する。また記憶や思考が重層的につながり合い、新たな理解へと至る可能性を空間として提示するのことも特徴であるといえる。一方、本パビリオン全体を貫くテーマであるBetter Co-Beingは、“未来に向かってともに生きる在り方”を模索する考え方を示している。大量生産・大量消費社会から転換を迎える現代において、個々人の多様な背景や価値観を尊重しながら、いかに他者や世界とのより良い共存を目指すのか。「言葉の丘」は、その問いかけを詩的かつ空間的に表現しているといえる。

例として、糸と文字によるネットワークは、まさに人々が抱える様々な感情や思考が交わる「共鳴」を可視化している。「誰もいないのに誰かがいる」という感覚は、共存や相互理解が必ずしも直接的な接触だけで成り立つわけではなく、言葉にならない思いもまた未来をつくる一つの力であることを伝えてくれる。また、人と人とを結ぶ糸が「現在」にだけ向かうのではなく、遠い過去やまだ見ぬ未来へのつながりをも指し示すことで、より広い時間軸の中で「共に生きる」意味を問い直すきっかけを提供している。

来場者はこの作品を体験する中で、赤い糸でつながった“ことば”のかけらから自分自身の感情や大切にしているもの、そして未来に向かう意志などを見つけ、改めて問い直す機会を得るだろう。もしかすると、糸によって見出された言葉は、これまで意識してこなかった自分自身や他者との“つながり”を呼び起こすかもしれない。これはまさにBetter Co-Beingが目指す“多様な人々がそれぞれの価値観を尊重し合いながら、未来へと向かって歩むあり方”の縮図である。こうして「言葉の丘」に足を踏み入れると、私たちは既存の言語や文化の壁を越え、見えない誰かとのつながりを体感する。普段は見過ごしがちな“言葉にならない言葉”を含む多様なコミュニケーションの可能性に気付かされ、自分自身がこれから何を通して未来に向かっていくのかを、より深く考えるきっかけとなるだろう。塩田千春が紡ぎ出す詩的な空間の中で、私たちはCo-beingの本質をあらためて想像し、体感するのである。

Sequence02 人と世界の共鳴

シークエンス2では、「人と世界の共鳴」をテーマに、各地域で培われてきた自然や文化、そこに根ざす人々の暮らしと響き合う視点を提示します。遠い国の風習も、自然への畏敬や共同体の在り方に目を向ければ、自分の暮らしの基底とつながることに気づくでしょう。ここでは「声」という普遍的なモチーフを通じて、世界各地で大切にされる価値観に耳を澄まし、互いが地続きであることを実感します。その共鳴が、新たな未来への一歩を照らし出すのです。

丘の頂に立って静けさの森を見渡すと、パビリオンのキャノピーと森とが無限遠で交わるようなランドスケープが広がっている。そこからなだらかなスロープを降りていくにつれて展開されるのが、宮島達男による音声を軸にしたインスタレーション作品「Counter Voice Network - Expo 2025」だ。この空間では、さまざまな言語(日本語だけでなく英語、フランス語、マレー語など)を用いて、異なるリズムで「9、8、7……、1」というカウントダウンが次々と鳴り響く。重要なのは「0」を発しないという点である。カウントダウンの合間に静寂が訪れるその刹那が、“死”や“無”を想起させる。音の発生源に近づくと、カウントダウンを続ける人々の名前と言語が表示され、また、関連するモチーフストーリーがWEBアプリ上に立ち上がる。声だけでつくられた空間は、言葉を介して他者の心を垣間見ると同時に、生命の多様性と包括性を体感させる仕掛けになっている。

「Counter Voice Network - Expo 2025」は、パビリオンのテーマであるbetter co-beingという問いを“カウントダウン”というシンプルな行為を通してダイレクトに浮かび上がらせる作品だ。言語や文化が異なる声が重なることで、私たちは自分の生きている時間と、他者の生きている時間とが地続きであることに気づかされる。そこには、人と人とのあいだに横たわる“不可視”の壁を取り払おうとするアプローチが感じられる。

さらに、このインスタレーションは音だけに焦点が当てられているため、視覚的には建築が切り取った“空”を自然と見上げる形になる。多様な声が重なるサウンドスケープを聴きながら、森と空の境目が溶け込むような風景を眺める体験は、来場者を思索的・内省的な状態へと導く。まさに、「言葉の丘」で自分自身の内面と向き合った後、今度は「Counter Voice Network - Expo 2025」で他者が大切にする想いや願いに耳を澄ませることで、来場者は“人と人のつながり”を新たな角度から捉え直すことになる。

こうしたプロセスは、Better Co-Beingが目指す“互いの多様性を認め合いながら未来をデザインする”という姿勢を体感的に理解するきっかけともなるだろう。言語や価値観が異なっても、私たち一人ひとりが「今を生きる有限の存在」である点に変わりはない。その事実を共有し、互いの声を知ることで、他者の価値観や未来への思いを尊重する土壌が生まれるのだ。このように宮島の作品は、同じカウントダウンを耳にしながらも、私たちが生まれ育った環境や文化の違いを追体験させ、それらを含んだままのco-beingを思考させる。カウントダウンの一瞬の“無”が、死や不在だけでなく、“新しい何かが生まれる前の余白”でもあるかのように感じられるのは、まさに彼の芸術が根源的に問いかける「生命の連続性」と「共鳴」の力ゆえだと言えよう。

※Counter Voice Network コラボレーションアーティスト募集について: Counter Voice Networkは世界中の言語の多様性と文化的伝統を称える没入型サウンドインスタレーションです。現在45の言語で構成されていますが、プロジェクトは引き続き自分の母語で参加するコラボレーションアーティストを募集しています。このプロジェクトに参加されたい方は、下記のWEBサイトにアクセスし、詳細をご確認ください。
URL: https://www.countervoicenetwork.com

Sequence03 人と未来の共鳴

シークエンス3は「人と未来の共鳴」がテーマです。来場者同士がつながり、共に世界に向き合うことで、より良い未来を描きます。自己と他者の違いを認め、多様な価値観を認識しながらも、より良い未来を創造できるのでしょうか?ここではそこに集った人々や植物、自然、そうした世界とのつながりを感じながら、ともに虹を創るという体験が骨格となります。足元の違いを認識しながらも、同じ空を見上げる中で共に歩んでいく体験は、「いのち輝く未来社会のデザイン」という万博のテーマにつながるでしょう。

本作品は、Better Co-Beingの理念である「最大多様の最大幸福」を体験的に提示するインスタレーションである。近代以降の大量生産社会が追求してきた「最大多数の最大幸福」は、限られた資源のもとで合理的な指針として長く機能してきた。しかし、デジタル技術が進んだ現代では、一人ひとりの違いを尊重しながら豊かさを生み出す仕組みが可能となり、社会は同質性の時代から多様性を積極的に受容する時代へと移行している。

作品では、高さ7mのキャノピーに沿って約400本の繊細なワイヤーが張られ、それぞれにサンキャッチャーが取り付けられている。一つとして同じ並びがないこの“不均質の集合”は、多様性の祝福を象徴する。晴れた日には自然光を浴びて虹色の輝きが広がり、曇天や雨の日には霧と人工光のコントラストが幻想的な光景をつくり出す。さらに来場者の動きで降り注ぐ雨も変化し、日中と夜とで異なる表情を見せる空間は、個々の違いが交わり合うことで新たな可能性が生まれる様相を体感させる。

ガーランドの配置がすべて異なるように、人々の価値観や生き方も千差万別である。しかし、あえて差異を強調することで、むしろ多様な存在が共鳴を生み、空間を豊かに彩っていることが明示される。これは大量生産・大量消費の時代に見過ごされてきた「個のちがい」こそが、次世代の幸福を支える力になることを示唆している。

儚さと力強さが同居するこのインスタレーションは、社会が抱える持続可能性や格差といった課題に向き合いつつ、最大多様の幸福を追求する道筋を提示する試みでもある。多様な光が織りなす光景に身を置くことで、私たちは未来社会のビジョンを共に見つめ、「多様性と調和」を尊重するBetter Co-Beingのあり方を実感する。ここでの体験が問いかけるのは、分断ではなく「響き合い」を通じて新たな可能性を拓く社会への歩みそのものである。

私たちはいつ、未来を感じるのだろうか。その象徴としてよく話題に上がるのは、過剰なCO₂排出が招く気候変動のように、巨大な力に翻弄されているかのような現代社会の課題である。一方で、フロンガスによるオゾン層破壊を世界規模の協調によって克服したように、人類は連帯と行動によって地球規模の問題を乗り越えてきた歴史も持ち合わせている。こうした協力の象徴として、このパビリオンでは「虹をつくる」という体験が提示される。偶然の産物と捉えられていた虹を人々の意思と協力によって生み出す行為は、私たちが未来を形づくるプロセスそのものを象徴しているのだ。

SANAAが設計したグリッド状のキャノピーが、壁や天井を排し、空と森を一続きに感じさせるこの場。その下に広がる広場では、虹が見える場所に人々が集うと、人工的な雨が降り始める。天候や時間帯といった自然条件に加え、観る人の視点や行動が響き合うことで、虹が立ち現れるかどうかは一定の不確定性をはらんでいる。それゆえに、ふと虹が姿を現す瞬間には、予期しなかった景色が共有され、思いがけない体験が広がる。やがて虹は儚く消えていくが、その消失の瞬間までもが貴重な瞬間として、見る者の記憶に刻まれるだろう。

ここに浮かぶ共鳴の空は、単に視覚的な現象だけを意味するものではない。自然と人間: キャノピーを通して透ける空や降り注ぐ雨は、自然そのもののリズムや力を強く意識させる。人と人: 虹を生み出す過程は、複数の人の行動や意思が合わさることで成立する。ある人の立ち位置や振る舞いが、他者に影響を与え、さらに未来を変える可能性を持つ。過去と未来: フロンガス削減の歴史を思い起こすように、世界が協調すれば地球規模の課題を乗り越えられるという希望と、自分たちの行動が今後の未来をつくりうるという実感が重なる。このように「虹を共同で創る」体験は、不確定だからこそ共鳴が生まれ、新たな価値が創出される様子を体感させる。これこそが、データや情報を共有し、未来とのつながりを可視化していく「データ共鳴社会」の発想とも響き合う。

キャノピーを通して見上げる空がいつもと違う表情を見せるように、私たちは未来を「他者との共創」という視点から捉え直すことができる。そして、雨が降り光が屈折し、虹が生まれる――そのプロセスは、私たちの連帯や協力によってはじめて完成するのだ。この儚くも力強い瞬間の積み重ねこそが、より良い未来を手繰り寄せる原動力になる。The Sky of Resonanceでは、静かな森の中、壁も天井も持たないパビリオンの下で、空を見上げるとき、人々は自然・世界・互いの存在と新たな関係を結び、“共鳴”を通じた未来創造の可能性を感じ取るだろう。人工的に降らせる雨と、そこに屈折する光の共同作業が、偶然をも意図の中に取り込みながら、多くの人を巻き込んで思いがけない光景を立ち上げる。まさにこの共鳴の空をともに仰ぎ見る行為が、未来を形づくる手がかりとなるのである。

Epilogue エピローグ

3つのシークエンスを経た後に、その瞬間に集った来場者同士の体験と、周囲の環境データを重ね合わせ、未来のイメージを五感で感じる映像体験として創出します。この体験は、気象条件や来場者の行動データ、さらには彼ら自身の未来への選択が組み合わさって一回性のものとなります。一人ひとりの記憶や意思が響き合い、世界との繋がりを映し出す場が形成されます。
ここで展開される共鳴は、決して永続的なものではなく、わずかな時間の中で感じる一瞬の現象にすぎません。しかし、その微かな共鳴こそが未来を共に歩む手がかりとなりえます。この体験は、人と人、人と自然、人と未来が織りなす関係性を再発見する機会を与え、Better Co-Beingというテーマを体感する場になるでしょう。

このセクションは、これまでのアートの体験を受け宮田裕章とライゾマティクスの手によって形を与えられる。球体LEDの装置が中心に据えられ、15名の来場者がそれぞれの体験やインスピレーションを持ち寄ることで、未来のイメージが動的かつ有機的に可視化される。これらのイメージは、リアルタイムで収集される気象データや空間そのものの特性と結びつき、単なる映像表現を超えた未来への対話を生み出す。この共鳴の場は、単なる技術の展示ではなく、来場者それぞれが自分自身と他者、そして世界とのつながりを再考する場となる。未来とは他者世界との結びつきの中にあり、その結びつきが織り成す多様な響きこそが、新たな時代を形づくる鍵となる。

共同キュレーター 長谷川祐子 Yuko Hasegawa

キュレーター / 近現代美術史 / 京都大学経営管理大学院客員教授 / 東京芸術大学名誉教授、国際文化会館アートデザイン部門プログラムデイレクター / 前金沢21世紀美術館館長。
文化庁長官表彰(2020年)、フランス芸術文化勲章シュヴァリエ(2015年)、ブラジル文化勲章(2017年)、フランス芸術文化勲章オフィシエ(2024年)を受賞。これまでイスタンブール(2001年)、上海 (2002 年)、サンパウロ (2010 年)、シャルジャ(2013年)、モスクワ(2017年)、タイ(2021年)などでのビエンナーレや、フランスで日本文化を紹介する「ジャパノラマ:日本の現代アートの新しいヴィジョン」、「ジャポニスム 2018:深みへ―日本の美意識を求めて―」展を含む数々の国際展を企画。主な著書に、『キュレーション 知と感性を揺さぶる力』(集英社)、『破壊しに、と彼女たちは言う:柔らかに境界を横断する女性アーティストたち』(東京藝術大学出版会)、『ジャパノラマ : 1970年以降の日本の現代アート』(水声社)、『新しいエコロジーとアート「まごつき期」としての人新世』(以文社)。

アートアドバイザー 福武 英明 Hideaki Fukutake

Artists

塩田 千春 Shiota Chiharu

1972年、大阪府生まれ。ベルリン在住。生と死という人間の根源的な問題に向き合い、「生きることとは何か」、「存在とは何か」を探求しつつ、その場所やものに宿る記憶といった不在の中の存在を糸で紡ぐ大規模なインスタレーションを中心に、立体、写真、映像など多様な手法を用いた作品を制作。2008年、芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。2015年には、第56回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館代表に選ばれる。2019年、森美術館にて過去最大規模の個展『魂がふるえる』を開催。2020年、第61回毎日芸術賞受賞。

宮島 達男 Miyajima Tatsuo

1988年 ヴェネツィア・ビエンナーレ新人部門に招待され、デジタル数字を用いた作品で国際的に注目を集める。以来、国内外で数多くの展覧会を開催し、世界30カ国250か所以上で作品を発表している。1990年 ACCの招きでニューヨーク滞在。1993年 カルティエ現代美術財団の招きでパリ滞在。代表作に「メガ・デス」(1999/2016) など。被爆した柿の木2世を世界の子どもたちに育ててもらうアート、「時の蘇生」柿の木プロジェクト(1995~)、東日本大震災の犠牲者の鎮魂と震災の記憶の継承、東北の未来をつくることをめざす「時の海-東北」プロジェクトも推進している。

慶應義塾大学教授 宮田裕章 Miyata Hiroaki

科学者/慶應義塾大学医学部教授 1978年岐阜県生まれ。慶應義塾大学医学部教授。データサイエンスを基盤に、医療・政策・社会設計など多様な領域を横断しながら、人と社会の未来を描く科学者として活動。科学の知性と感性の表現をつなぐ実践を通じて、多様な領域と共創を行っている。アーティストとしては、クリエイティブチームEternity in a Moment(EiM)として活動。代表作に「Embracing Lights」「Eternity in a Moment」「儚くも煌めく境界」「深淵に宿る彼岸の夢」などがあり、2025年には蜷川実花との共作による「彼岸の光 此岸の影」(京都市京セラ美術館)でアーティスト・共同キュレーターを務め、25万人以上を動員した。2026年開校予定のCo-innovation University(仮称)では学長として全体構想を担い、建築家・藤本壮介とともにキャンパスデザインを監修。学びと創造が交差する新たな実験の場づくりを進めている。その活動の根底には、「多様な存在が響き合いながら未来を共に創る」という理念——Better Co-Beingのビジョンが一貫して息づいている。

EiM Eternity in a Moment

EiM は本万博のテーマ事業プロデューサーである宮田裕章、写真家・映画監督の蜷川実花、クリエイティブディレクターの桑名功、照明デザイナーの上野甲子郎、音楽プロデューサーの剣持学人らで結成されたクリエイティブチーム。プロジェクトごとに多様なチームを編成しながら活動する。
主な作品発表に、「胡蝶の旅 Embracing Lights 」(安比Art Project 、2022 年)、蜷川実花「残照 / Eternity in a Moment 」(小山登美夫ギャラリー前橋、2023 年)、「蜷川実花展 Eternity in a Moment 輝きの中の永遠」(TOKYO NODE 、2023年-2024 年)、「「蜷川実花展 with EiM :くも煌めく境界」( 弘前れんが倉庫美術館2024 年) 、「深淵に宿る彼岸の夢」(森の芸術祭 晴れの国・岡山 満奇洞 2024 年)など。2025 年に京都市京セラ美術館で開催された蜷川実花with EiM の大規模個展「彼岸の光 此岸の影」では70 日間の開催日数で25 万人以上を動員した。

Better Co-Being APP

Better Co-Beingアプリ

来場者の共鳴体験をサポートするWEBアプリです。アートインスタレーションの解説の他、その瞬間に集った来場者同士の体験・選択を、万博の7つのテーマを軸に分析・表現し、自分自身の価値観と他者の多様な価値観への気づきを促します。また、パビリオン体験のフィナーレ、シークエンス3では、それまでの体験・選択に加え、現地の環境センサー(大林組提供)が収集する気象データを重ね合わせ、毎回異なる未来のイメージを映像アートを軸にした五感体験として創出します。アプリは、静けさの森や万博会場全体で利用できます。AR技術を活用し、スマホのカメラをかざすことで、各場所で誰かの想いや感動に出会え、つながりや共鳴が生まれるきっかけとなります。

echorb

ふしぎな石ころ「echorb(エコーブ)」

特殊な振動により脳に錯覚を与える3Dハプティクス技術を搭載しており、ふしぎな触感・手ごたえ感で来場者を共鳴体験に導きます。また鼓動センサ(村田製作所提供ミリ波センサ、荷重センサ)との連携により来場者それぞれの鼓動を自分の石ころに宿し、自分のいのちを手のひらに感じながらパビリオンを巡っていただきます。

Pavilion Gifts

パビリオンでは3つの共鳴体験を通じて、その日その時間に集った来場者がつながり、響き合う中で共に描く多様な未来を大切にしています。来場者の体験を重ね描かれる多様な未来に応じ、Better Co-BeingのDiver Sphereをモチーフにした全7色のバッグを体験の終了時にギフトとして配布予定です。
バッグの中には、生命エネルギーをコンセプトとしたパビリオン限定のプロダクト「Wellness Energy」が入っています。大塚製薬が、人間が生きていく上で欠かすことのできない「水」「栄養」「酸素」の3つの要素を見つめ直し、浮かび上がった“これからの健康のかたち”として、新しい形状や成分を用いて開発しました。一人ひとりが輝くことで、互いにより強く響き合い、Better Co-Beingへとつながると考えています。

Web Contents

パビリオンに来場する子供たちが、地球と人の健康のつながりを分かりやすく学べるWEBコンテンツを提供予定です。気候変動への取り組み紹介や、ARゲームの中の地球との記念撮影を通じて、地球の未来について考えるきっかけを作ります。地球モデルの1つはBetter Co-BeingのDiver Sphereをモチーフにしています。

Pavilion Uniform

ファッションデザイナー中里唯馬氏とゴールドウイン社との共創により、
パビリオンが描く「人と人」「人と世界」「人と未来」の3 つの共鳴をユニフォームで表現しました。

IMPERMANENCE

ファッションデザイナー中里唯馬氏とゴールドウイン社との共創により、
パビリオンが描く「人と人」「人と世界」「人と未来」の3 つの共鳴をユニフォームで表現しました。

ファッションデザイナー 中里唯馬 Nakazato Yuima

1985年生まれ。2008年、ベルギー・アントワープ王立芸術アカデミーファッション科を卒業。
2016年7月にはパリ・オートクチュール・ファッションウィーク公式ゲストデザイナーの1人に選ばれ、現在に至るまで日本人として唯一、パリ・オートクチュール・ファッションウィークにてコレクションを発表し続けている。近年では、単独回顧展BEYOND COUTUREがフランスの公立美術館カレー・レース・ファッション美術館にて開催された。アメリカのボストン・バレエ団やスイス・ジュネーブ国立劇場等で行われるオペラやバレエ等、舞台芸術の衣装デザインを行う。また、自らが発起人となり、未来を担う次世代のクリエイターのためのファッション・アワードFASHION FRONTIER PROGRAMを創設。